神戸映画資料館

PROGRAM プログラム

2022年12月10日(土)

アニメーターの幻灯画

『鐘の鳴る丘 第一篇』


 
1940年代から50年代の、日本国内で公開される映画の多くがまだ白黒だった時期に、幻灯(スライド)は、大きなスクリーンに鮮明なカラー映像を拡大映写することができる映像メディアとして、「子どもたちの憧れ」(加古里子『絵本への道』福音館書店)だった。大画面・高画質のカラー映像にふさわしいクオリティを求めて、各メーカーは、童画家、洋画家、日本画家、漫画家、紙芝居画家など、さまざまな分野の専門家を、「幻灯画」の描き手に起用したが、その中には、少なからぬアニメーターが含まれていた。
本企画では、『しょうぼうじどうしゃ じぷた』ほかのりもの絵本作家として知られ、アニメーターとしての活動歴もある山本忠敬、1920年代からアニメーターとして活躍したが、戦後の消息は不明点の多い木村白山、東映動画の主力アニメーターだった古沢日出夫、エイケンの菰岡静子、松竹から満映を経て、留用されて新中国の映画事業に参加した後、日韓合作アニメーション事業に参加した波乱万丈の経歴をもつ森川信英らが、主に1950年代に作画した幻灯を、フィルム現物と幻灯機により上映する。
トークセッション「アニメーターの職分としての幻灯画」では、日本のアニメーション産業がいまだに小規模だった時期に、アニメーターが手がけた「画の仕事」の多様性について、アニメーション史及び映画・幻灯史の専門家が対談する。

 
【上映作品】※フィルム上映

『鐘の鳴る丘 第一篇』

『鐘の鳴る丘 第一篇』
原作:菊田一夫 脚色:新谷松忠雄 構成:北村聡 写真:原正次 作画:山本忠敬
製作:東映社

『弥次さん喜多さん 五十三次』
原作:十返舎一九 脚色:椿たかし 作画:菰岡静子
製作:さくら・カラー・プロ 発売:小西六写真工業株式会社

『トラちゃんと花嫁』
脚色:松嵜與志人 作画:古沢日出夫
製作:さくら・カラー・プロ 発売:小西六写真工業株式会社

『しゅてん童子』
脚色:椿たかし 作画:森川信英
製作:さくら・カラー・プロ 発売:小西六写真工業株式会社

『アクメスライド 如是姫 善光寺縁起』 ※早稲田大学坪内記念演劇博物館提供
原作:中山徳重 脚色:三樹茂 監修:善光寺大勧進 作画:木村白山
製作:奥田商会

 

【スケジュール】
13:30~14:30 幻灯上映 第一部

『鐘の鳴る丘 第一篇』
『弥次さん喜多さん 五十三次』
『トラちゃんと花嫁』
『しゅてん童子』

休憩10分

14:40~15:10 トークセッション「アニメーターの職分としての幻灯画」
佐野明子(同志社大学文化情報学部准教授/映像文化論・アニメーション史)
鷲谷花(大阪国際児童文学振興財団特別専門員/映画学・日本映像文化史)

15:20~16:00 幻灯上映 第二部
『アクメスライド 如是姫 善光寺縁起』

 

《参加費》無料
予約受付
メールと電話によるご予約を承ります。参加を希望される日時とイベント名、お名前、電話番号をお知らせください。予約で満席でなければ、当日に予約無しでもご入場いただけます。
info@kobe-eiga.net 078-754-8039

共催:JSPS科研費基盤研究(B)「冷戦前期・東アジア英米文学のジオポリティックス」(研究代表者:吉原ゆかり)
フィルム提供:鷲谷花、早稲田大学坪内博士記念演劇博物館

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