心理相談室を突然訪れた女が切り出したエキセントリックな話は虚と実、主体と客体、記憶と妄想の境界を溶かし始め、耳を傾けるカウンセラーの精神をも侵食してゆく──。
初の原作もの、そしてあらゆる事象が記号・均質化される世界の微かな差異を捉え続ける宮崎のフィルモグラフィーにおいて重要な一作の誕生だ。